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熱帯地域のボーキサイト

ボーキサイトというと写真のように熱帯地方で露天掘りのようにして採掘している様子がすでにインプットされていて,高温多湿下で岩石の風化作用によってできたものと思い込んでいましたが,レ・ボーでは坑道を作りボーキサイトの鉱脈を探しながら採掘していたようです。ボーキサイトの形成機構にはいろいろあることがわかりました。

地質調査所の嶋崎氏の報告書ではレ・ボーの鉱床は,「地中海型ボーキサイトの代表的な鉱床であって,白亜紀前期あるいはジュラ紀の石灰岩の風化作用によって生成したものである」と記載されていて,岩石学については素人ですが,そもそも石灰岩にアルミニウムは含まれているのだろうかという素朴な疑問が湧いてきました。そこで都城秋穂博士の「岩石学 II」(共立出版,1975)を読むと,「石灰質堆積岩とは,石灰岩やドロマイトのことである。石灰岩は主として方解石 CaCO3 からでき,ドロマイトという岩石は主としてドロマイト CaMg(CO3)2 という鉱物でできている。石灰岩にはいろいろ異なった成因ののものがある。生物の遺骸を多量に含んでいる石灰岩を生物源石灰岩という。これに対し砕屑性石灰岩は,方解石なる任意の破片あるいは粒子が,運搬され,破壊され,選別された後で,最後に堆積したものである。堆積後はその破片あるいは粒子のすき間に,石灰質のセメントが沈殿して,急速に固結すること多い。その粒子を石灰砂岩と呼ぶ。石灰砂岩には,石英や火山噴出物の破片がかなりたくさん混じっていることが多い」とあり,納得した次第。