材料

デモクリトスの原子論と材料学
材料 · 2021/06/16
材料の結合・構造・物性・反応を統一して議論するには,階層的には,素粒子である電子・光子にまで立ち返る必要があること,歴史的には電子と光子の変化・運動という視点が必要であること」,そのためには量子力学の基礎概念が必要であると述べている。さらに「電子と光子の変化・運動を規定し,材料の結合・構造・物性・反応を通して指導理念として働く根本概念」は「原子は空虚がなければ運動できない」とのデモクリトスの思想に行き着く。ここでいう空虚とは電子にまだ占拠されていない空席の状態を指す。空席の存在は結合では金属結合をもたらし,空席の不在は共有結合や静電結合をもたらす。

材料 · 2020/10/19
元素単体の個体としての強度は何で決まるか? 大学で金属の講義を受けるとまず格子欠陥の説明があり,転位(dislocation)を教わる。この転位をベースに強度理論が作られている。したがって,転位ありきの理論で転位が存在できないような共有結合性物質や転位がそもそも存在できないような高純度の金属の強度について説明できないことになる。...

材料 · 2020/06/13
写真はAl-Zn-Mg 合金のGPゾーンである。GPゾーンというのは1936年GuinierとPrestonがAl-Cu合金が初期に硬くなる現象をX線で解析して,Cu原子がAl格子中に規則的に配列する構造を同時に発見して彼らの名前の頭文字をとって名付けられた構造のことである。Al-Cu合金ではCu原子が特定の面に沿って並ぶことが生じる。アルミニウム合金では焼入れしてから,室温に放置しておくと硬くなる現象を時効硬化と呼んでいる。硬化機構にはその他固溶体硬化,加工硬化がある。この硬化機構を化学結合(金属結合,共有結合,静電結合)の観点から説明する。

材料 · 2020/03/10
ほぼ2年前,出版社のNOVAより 「Dear Dr. Yoshida, We have learned of your published research on recrystallization and would like to invite you to participate in our publishing program. Your submission of one or more original research or review chapter(s) for our upcoming hardcover edited collection (by selected invitation only) tentatively entitled: Recrystallization: Types, Techniques and Applications The deadline for the abstract is March 10, 2018 and for the completed chapter...

材料 · 2018/07/05
二年おきに北米,欧州,アジアと順に開催されるアルミニウム合金国際会議ICAA (International Conference on Aluminum Alloys)...

材料 · 2017/09/30
転位という専門用語がでてきて,これは何ですかと質問がありました。金属の特徴の一つは塑性変形ができるということです。塑性変形とは圧延や押出,鍛造あるいはプレス加工など圧力を加えて任意の形状に加工できることです。これは金属にしかない特性です。なぜ破断応力よりも低い応力で変形ができるのかは金属学の大きな問題でしたが,1934年,結晶の中に線状の格子欠陥(転位)が存在し,この欠陥は低応力で動いて材料が変形できるとの仮説がたてられました。(図1参照)1950年代の電子顕微鏡の発達で実際に格子欠陥が観察でき,この仮説は実証できました。写真は純アルミニウムの焼き鈍した後(a),2%圧延後(b),7%圧延後(c),30%圧延後(d)の電子顕微鏡写真です。加工によって導入されたのが線状のひものように見えるのが転位です。加工度が増えるにつれて転位が増加して転位同士がもつれ合ったようになります。

材料 · 2017/09/19
純アルミニウムというと皆さんは,どのようなアルミニウムを考えますか?大学の先生に聞くと,pure aluminumだから文字通り不純物のないアルミニウムだとの回答がかえって来ます。製造上日常的にアルミニウムに接している人にとっては,不純物の多いアルミニウムも純アルミニウムの仲間に入ってしまいます。我々の使用するJIS規格(表参照)では純アルミニウムは1000系として分類されています。1000系の中でさらに不純物量で1050,1100等分類されます。大学の先生方との違いはどこから来るのでしょうか?