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ボーキサイト

ボーキサイトとは岩石であって,一つの鉱物ではなく,多くの鉱物の集合体です。写真はWikipediaのボーキサイトの項から引用したものです。鉱物の半分以上は酸化アルミニウムですが,ほとんど水和物の水酸化アルミニウムとなっています。Al(OH)3で表わされるギブサイト(Gibbsite),AlO(OH)で表わされるベーマイト(Boehmite)が代表的な化合物です。その他ベーマイトと同じ水分を含み,構造は全く異なったHAlO2で表わされるダイアスポア(Diaspore)があります。

「ギブサイトは長石,鋼玉(コランダム)などの鉱物の分解生成物としてでき,また低温熱水性鉱物として脈上に火成岩中にも産出します。ボーキサイトやラテライト中では比較的大きな結晶として産出します。完全な底面劈開を有し白色でガラス光沢もしくは真珠光沢を示します。比重は2.3〜2.4である。硫酸と苛性ソーダに溶解します。ベーマイトやダイスポアよりも溶解度が高く,アルミナ原料には最も適しています。

 

ベーマイトは南欧のボーキサイトの主要鉱物です。アルミニウムの単水和物AlO(OH)で,ギブサイトの脱水によってでき,ギブサイト質ボーキサイトが溶岩,貫入岩などによって弱い熱変成作用を受けるとベーマイト質ボーキサイトに変わる場合があります。また中生代にできた古いボーキサイトはギブサイトがベーマイトに変わっています。人工的にはギブサイトを加圧しながら熱するとできます。比重は3.01〜3.06です。色は淡い灰,褐,赤色などであり,顕微鏡下では無色です。酸とアルカリにはやや難溶です。

 

ダイアスポアはベーマイトと同じく単水和アルミニウムでありますが構造は全く異なり,化学式はHAlO2で表わされます。この鉱物は火成岩,変成岩,堆積岩などに広く分布しています。古生層の地層にもよく産出します。比重は3.3〜3.5です。白色,顕微鏡下では無職ですが,鉄,マンガンなどの不純物を含有するものは赤く着色していることがあります。アルカリに対する溶解度がギブサイトやベーマイトより低いため,バオヤー法によるアルミナ原料には適当でなく,耐火性が強く耐火物の原料として広く利用されています。

 

その他,ボーキサイトにはFe2O3, SiO2, TiO2, H2Oが含まれます。この他に,CaMgが含まれます。(嶋崎吉彦,岡野武雄,アルミニウム資源I, より,資料室参照)